縄田正樹編集長 × 浅野紗紀 ~WonderNotes Inspire~刺激人
浅野:漫画雑誌の編集の喜び、苦労を教えていただけますか?
縄田:やっぱりヒット作品を作ることで手応えを掴んで、たくさんの人に読んでもらうことですよね。会社も儲かりますし(笑)。漫画家さんも喜んでくれるし。読者からは反響の手紙で送られてきますし。
浅野:めっちゃ手紙送ってました(笑)。
縄田:そうですか(笑)。やっぱり、ヒット作を作ると楽しいことだし励みにもなりますね。逆になかなかヒット作が生まれないと苦しいですよね。
浅野:編集者をやられてきて、良かったなと思ったことはありますか?
縄田:私はサンデー編集部に長くいますから、ほぼ『サンデー』のベテラン漫画家さんたち全員担当させてもらいましたし、親交もあるんですが、やっぱりその方たちと打ち合わせをして、朝の4時とか5時とかまで漫画について「こうやったら面白くなる」とか話し合って最終的に「これだ!」ってなった時は、本当に面白いし良かったなって思いますね。
漫画家さんと話している時って、大喜利みたいな感じなんですよ。大喜利ってお題が出て面白いことを言わなきゃならないじゃないですか。例えば「このシーンいまいちだよね。」ってなる時あるじゃないですか。じゃあ、ここに面白いアイディアとかエピソードがないかって話になるんですけど、これが大喜利でいうお題なんですよ。お互いこのお題に対して面白いことを考え始めるんですよ。お互いに答えを言い合っていって、「それ、いいね!」ってなってそれをネームにしていくのが、とても苦しいんですけどこの大喜利感が醍醐味なんですよ。
やっぱりなかなか答えが出なくて、苦しくて煮詰まるんですけど、煮詰まんないと面白いものって出ないんですよね。本当に最後まであきらめないで出るまでやる。何時になってもいいから最終的に納得できるアイディアが出るまで粘ると出るんですよ。仕切り直して次の日にやろうとすると永遠と出なかったりするんですよ。
浅野:ひとつの作品を作り上げるのにそんな物語があったなんて、一読者として感動しちゃってます!
縄田:そうですか!でも、テレビだって、映画だってストーリーを作ったりする現場っていうのは、どこの現場でもそうだと思いますよ。締め切りに追われている現場っていうのは、後数時間の間に何かを決定しなければならないっていう場合は、アイディアが出るまで会議は終わらないですし。
浅野:そういうアイディアだったり、考えが出なかったときはやっぱり苦しいですか?
縄田:そうですね、出ないときは苦しいですね。だけど、それをやれる漫画家さんっていうのはやっぱり強いですし、生き残りますよね。人によっては、このくらいでいいんじゃないんですかって言ってしまう人もいますしね。編集者もそう思っちゃったら負けっていうか、あんまり向かないですよね。本当に面白いって思えるまでやる人が編集者に向いていると思いますけどね。