縄田正樹編集長 × 浅野紗紀 ~WonderNotes Inspire~刺激人
浅野:次に編集者を目指す学生にアドバイスをいただきたいんですが、今の学生にどんなイメージを持っていますか?
縄田:その質問は難しいですねぇ(笑)。でも、変わらないのかなって思ってますけどね。だから今の若者がダメとも思わないし、いいとも思わないし、自分たちの頃と同じだなと思います。やる気のある学生はいるだろうし、面白い学生はいるだろうし、ダメな学生だっているだろうし。
浅野:縄田さんは学生時代どんな学生だったんですか?
縄田:その質問も厳しいですね(笑)。何もしてなかったです。いわゆる学生時代に何かに打ち込んだみたいな人がいるじゃないですか。勉強に打ち込んだとか、スポーツに打ち込んだとか。私はそういうのは一切ないですね。学校行ったり、友達と遊んだりとか普通ですよね。強いて言えば、美術系のサークルには所属していて、ビデオとか撮っていたんですね。
当時はビデオって高くて買えなかったんですけど、コンテストとかあると安く機材を借りられたんで、それを使って友達と撮ったりはしていましたね。ちょうどその頃『MTV』が登場してきて、ミュージックビデオがすごく流行り始めた時期だったんですね。だからあんな作品に憧れて「撮ってみたいね」とかは言ってましたね。全然撮れないんですけどね(笑)。
浅野:大学時代の思い出は何ですか?
縄田:一番の思い出は、友達とフラフラと遊んでたことですかね。でも、ものすごく専門的な知識を要する職業ってあるじゃないですか?科学技術者とか法律とか。そういう専門職に就くなら勉強した方がいいと思いますけど、出版社とかに入るときに大学の勉強ってほとんど関係ないですよね。だから楽しく遊んだ4年間があれば編集者はやれると思いますよ。一個だけ言えるとしたら編集者に向いているのはフットワークのある人がいいかもしれないですね。
要するに家でボーっとテレビとかパソコン触っているだけじゃなくて、面白いイベントがあったら行くとか、話題の映画は全部見るとか、話題のゲームはやるとか、とにかく今話題になっていることを一通り体験して話せるようなフットワークのある人。もちろん1つのことを突き詰めてやれるならそれはそれですごいけどね。例えば、4年間女の子とデートすることしか考えていなかったとか。それはそれで、その人は面白いと思いますけど。
浅野:学生時代「あれをやっておけばよかった…」という後悔はありますか?
縄田:私は語学ですね。英語をもっと勉強して、英語が使えたら仕事的に広がりがあるなとこの歳になって思いますね。若いころの現場は英語を使う仕事は一切なかったんですけど、小学館でも海外での出版や海外での事業を進めていますので、やっぱりどこの国に行っても英語ができないとビジネス的には成り立たないので、もうちょっと英語ができるようになればなぁって思っていますけど。英語ができるとビジョンが広がると思いますよ。
浅野:出版を目指す学生に何か一言メッセージをいただけますか?
縄田:出版界は今、出版不況と言われてますけど、それでも出版社が今からやろうとしている取り組みはいっぱいあるんですよね。インターネットと組んだりもあるし、映像化するということもあるし、新しい取り組みはいっぱいあるんです。昔、出版業界は結構硬直していて、私が入ったころは寡占化された業界で割りと保守的な世界だったんですが、今はやっぱりこれだけ激動になって、出版界も新しいアイディアでやっていかなければならないんですね。それは新しい人じゃなきゃできないんで、ぜひ新しい才能と熱意を持った人が入ってきて欲しいなと思っています。
浅野:コナンとかも今、電子書籍とかになっていますもんね?
縄田:そうですね、電子書籍はこれからまだまだ広がっていくと思いますよ。ただ、電子書籍が出版社のこれからの大きな道というわけではなくて、道がいくつかあるうちの一つだと考えていますね。
逆に紙での出版が注目されたり、陽が当たることもこれから絶対あると思いますし。紙じゃないと伝えられないこともいっぱいありますしね。
浅野:私の周りでも、紙の方がいいっていう人もいっぱいいますし、私も好きです。
縄田:ありがとうございます。