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保坂広司ディレクター × 清水敬介~WonderNotes Inspire~刺激人

前編

後編

清水:ディレクターをやっていて、“喜び”と“苦しみ”をいつどんな時に感じますか?

保坂:個人的な意見ですけど、芸人さんとかが、面白いことをやったり、大爆笑をとったりしたことが、実はこっち(制作側)が仕掛けたことだったりすると嬉しいですよ。他にも笑いだけじゃなく、ウケたり、泣いてもらえたり、真面目な番組だったら感心してもらったり。それは喜びですよね。

清水:それは嬉しいですよね。

保坂:後はもちろん世間に認知されて「いつも見てますよ!」とか言われたら嬉しいね。

清水:逆に苦しみっていうのは?

保坂:苦しいのは色々あると思うんですけど、自分がしたいと思ったことが、表現出来なかった時かなぁ。ディレクターはVTRの最終形を考えてロケをするんです。ある程度、自分の頭の中で編集とストーリーが入っているんで、「ここでこういうコメントがないと成立しない」となってしまうので、カンペを使って指示するんですけど、こっちの指示のミスで(タレントの)コメントが思うようなものじゃない時があるんですよ。

清水:「あ、これ違う」って?

保坂:そうそう。それで、編集の時に困るんですよ。「この時、こういうコメントをもらうべきだった」って。その時は未熟だなって思いますよ。あとは、思ったような画が撮れなかった時かなぁ。まぁ、だから作品としての完成度が低いってことだよね。

清水:これから挑戦したみたいことはありますか?こういう番組を作ってみたいとか?

保坂:自分の感性でやっている番組はやりがいがあると思っていて、僕はディレクターが撮ったもの、タレントさんだけの力だけじゃなく、自分の力で撮った作品で勝負したいとは思ってはいます。

清水:『ナニコレ珍百景』のオンエアを見させてもらった時にトークが少なめだなって思ったんですけど、それはそういう意図があって作られているんですか?

保坂:厳密にいうと全く別の話ではあるんだけどね。まぁ、でもあれは7時台の番組だからね。時間によって作りを変えないといけなかったりするんですよ。

清水:そうですよね。

保坂:自分のやりたいっていう番組っていうのは、ちょっと具体的には言いづらいんですが、まぁ、はじけた番組を作りたいですね!

清水:今、「テレビ離れ」ってよく聞きますけど、そういった危機感って感じたことありますか?

保坂:感じたことはあります。でも、本来ディレクターって自分が面白いと思ったものを面白く作る仕事なのね。ディレクターという仕事だけを切り取ったらね。だから、ディレクター全員「オレが面白いもの作ったんだから見てよ、みんな!」っていうスタンスだと思うよ。じゃなきゃこの世界はやっていけないし。もちろん迎合することもあると思うけど、基本は「絶対面白いから見てよ!」っていうスタンスだと思う。

だからちょっと話が違うかもしれないけど、ネット社会でテレビ離れというのは、ディレクターの意見とはまた別個の意識なんだよね。僕がテレビ朝日の人間として言うと、ネットとかゲームに勝つために議論は必要だと思うけど、いちディレクターとしては、あんまり気にしてはいない。今も20年前もそんなに変わらないと思ってる。

清水:20年前とかって視聴率がいい時ってどのくらいとっていたんですか?

保坂:20%超えの番組も多かったし、時には30%超えっていうのもありましたよ。

清水:30%超えですか?

保坂:ありましたよ。紅白とかなんて60%とかとってて、国民の6割が見てたんだよ。

清水:えーっ!すごい!今、ワールドカップとかないと、そんなにいかないじゃないですか?

保坂:年に1回くらいそういう番組があったと思うよ。でも今、ワールドカップだってそんなにいかないもんね。だって今、学校でテレビの話とかしないでしょ?

清水:小学校の時は、よくしてましたけど今はしてないですね。そんな時代があったんですね。

保坂:そうなんですよ。