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保坂広司ディレクター × 清水敬介~WonderNotes Inspire~刺激人

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後編


71年生まれ、熊本県出身。フリーディレクターを経て、2007年にテレビ朝日に入社。
現在は『ナニコレ珍百景(水曜19:00~19:54)』、『そうだったのか!池上彰の学べるニュース(水曜20:00~20:54)』、『みんなをハッピーに! Vドリーム(2010年12月放送予定)』などの番組の演出を手掛ける。


東京都市大学環境情報学部情報メディア学科2年。大学1年時から映像制作を始める。
現在は、若手アーティストのミュージックビデオを制作し発信する『FERET TUBE 2010』を中心に活動している。将来の夢はテレビ、CMなどの映像に関われる仕事をすること。

清水:人気番組の『学べるニュース』に出演している池上彰さんは、他局でもいろんな番組に出ていますけれども、他の番組と差別化するためにしていることは何かありますか?

保坂:見ている人は気付いているかどうか分かりませんが、他の池上さんが出ている番組は普通、司会進行するMCがいて、その解説員として池上さんがいて、更に世間一般の声としてのタレントさんがいるんですよ。でも、うちの番組はMCがいないのね。

清水:あっ!確かにそうですね。

保坂:授業をそのまま見せるというシステムにしていて、MCを省くことで“教えたい人”と“聞きたい人”のやりとりだけにしたんですよ。

清水:高校の授業みたいに?

保坂:そうそうそう。そうすることで、「今のどう思いますか?」とか聞くMCがいないので、聞き役のタレントさんも自分で理解をして発言をしないといけなくなるから、その分すごく真剣に聞くわけ。だから芸人さんもボケないし。

清水:言われてみればそうですね。まずMCがいないっていうのに気付かなかったです。

保坂:だから、おかげさまで他の番組よりちょっと視聴率がいいのね(笑)。

清水:高視聴率ですよね。今年、何か賞をもらいましたよね?

保坂:何かもらったよね。まぁ、そういうのはあまり気にしないんだけど。

清水:気にしないんですか?(笑)

保坂:まぁ、でも(番組が)スッキリしてるの。芸人さんもボケる空気じゃないからそんなにボケないし。どうしても芸人さんはボケたりして遊びたくなるけど、「この番組は違うよ」と。

そうすることで、普段おちゃらけている人たちがこの番組では「真面目に聞いて、真面目に質問してる!」って見てる人も思ってくれているんじゃないかなぁ、と勝手に思っています。

清水:そういう違いで他局との差別化をしているんですね。

保坂:そういうことだと思います。

清水:視聴率の話が出たので聞いておきたいのですが、よい視聴率をキープするために心がけていることはありますか?

保坂:「世間で何が流行っているのか?」、「何に関心を持っているのか?」を考えながら作っているつもりです。「世間が関心を持っていること」がイコール「求めていること」なんじゃないかなと思ってやっています。後は他局との戦いもありますし。もちろん視聴率のとり方を分かっていれば苦労はしないと思うんですけどね(笑)。

清水:そういう、リサーチとかもディレクターさんの仕事なんですか?

保坂:それは、どちらかというと演出とかプロデューサーとかの仕事。でも、ロケとか行った時におばちゃんに「普段どんなことに興味あります?」って生の声を聞くことだってありますし。

清水:そうやってリサーチしているんですね。次の質問なんですが、「ディレクターのこんな所が辛い」ということがあれば教えてください。

保坂:うーん、何が辛いかなぁ。

清水:僕の知り合いで、テレビ局の仕事をやっている方がいるんですが、まだADだった頃、仕事が終わって家に帰った時に玄関でバタッと倒れて、そのまま寝ちゃって、朝起きてそのまま仕事に行ったっていうエピソードを聞いたことがあるんですが。

保坂:それ普通です!

清水:それが普通なんですか!?

保坂:よくあることです。まぁ、だから寝てないとかはしょっちゅうだし。

清水:じゃあ、一般の人が思っている厳しい世界が実際に展開されているんですか?

保坂:まぁ、時代によって変わりましたけどね(笑)。

清水:昔はもっと厳しかったんですか?

保坂:今は、労働基準問題などもありますけど、昔は色々大変でした(笑)。でも、厳しいのはどこも一緒じゃないかな?テレビに関していえば、公共の電波で一斉に送信されているから、それに対してやるべきことがたくさんあるので、その分しんどくなるのかな。