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友寄隆英ディレクター × 浜田壮瑛~WonderNotes Inspire~刺激人

前編

後編

浜田:僕はインターンの時、友寄さんと初対面でしたけど「良い人なんだろうなぁ」と思いながら見てました。

友寄:良い人ではないけど。

浜田:人を惹きつけるというか、「俺がリーダーだ!」という感じではないけど、気付いたら下にたくさん人間がいるみたいな、みんな慕っているイメージはありました。

友寄:部下っていうか友達やねん、ADもディレクターも。ADもディレクターもずっと遊んで話したり、俺の家に泊まり来たりするもん、そして料理作ってあげるの。

浜田:料理作るんですか(笑)。

友寄:料理得意なの(笑)。みんな仲間、同志やねん。

浜田:これから作ってみたい番組はありますか?

友寄:「夢あるの?」とか聞かれるんやけど、本当ないねん、全く。先のことしか考えてないし、必死でそこまで見えない。みんなみたいに5年後どっかで部長になってたりとかさぁ、5年後映画撮ったり、5年後ドラマ撮ったりだとか全くないねん。半年後こんなことをしたいとか計算したことはない。ただ、それじゃまずいよね。

浜田:何かやってて、そこで本気になったら明日のことしか見えなくなるってことなんですかね?

友寄:そうかもしれない。番組で無人島にディレクターで行かせてもらってた時に毎回、「今回で終わりにしよう」ってずっと思っててん。もう1回誰かに「やろうよ」って言われてもその人に「もう1回できませんよ」って言うし、「OA終わったら翌日死ぬよ」って思ってた。

次、違うディレクターが真似しようと思ってもできないし、自分でも真似できないくらい思い付いたこと全部入れて、よゐことも一緒にやるとなぜか次が生まれる。そうやってシリーズ化されてきたけど、次を考えたやつってシリーズになったことなくて、「2回目もあるから1回目はこれでいこうよ」ってやってるやつは絶対に続かない。

浜田:やりきったときは“完全燃焼”という感じなんですか?

友寄:いや、それがなんか不思議で「できるわけないやんけー!」っと思ってたら、OA終わった瞬間に「もう1回できるかなぁ」って思って、翌日には企画書を書いてんのね。それをいつも自分で笑っちゃう。これマジやねん!こういう感覚の人は(他にも)いると思う。

浜田:挫折しないでずっとやって来られたのも、誰よりも努力しているという自負からでしょうか?

友寄:めっちゃ頭悪いから。「これ失ったら何もないやろうなぁ」って、必死にしがみついてたらここまで来た。

浜田:今もストイックということですか?

友寄:超ストイックやで。だって、そのことを考えたことあって、大晦日に無人島にいてんけど、真っ暗な空見てて、「もし自分にテレビの仕事がなかったりディレクターがなかったら何してたやろ」って思ってたら、多分バイトさえ続かないと思った。バイトでは寝坊するし、遅刻するし、頭悪いし計算できないし。テレビだけで生きてきて、一生懸命やったらその分、人が響いてくれたり。自分が一所懸命“こんだけのことやってきたんだ!”って見せると、どんだけ優秀な人もどんだけ下っ端の人も返してくれんねん。俺、カンペ出したことなくて、どんだけロケがでかくてもスタジオでも全部しゃべりで。

浜田:口でいうっていうのは、収録を止めているんですか?

友寄:うん。演者が楽しそうに喋ってるとするやん、(収録を止めて)「ちょっといいですか?」って。俺、言葉で交わさないと頭に思い浮かばなくて、芸人に対してカンペに面白いこと書けたら書くけど、芸人に対しては書けないよ。だって芸人凄いねんもん。こういうこと言って欲しいなと思ったら収録を止めて、ちゃんと話をする。こっちが本気で言えば絶対返してくるから。それが反響して番組がすごいでかくなってくる。

浜田:それ、楽しそうですね。

友寄:動くから、“これ、どうなっていくの”ってお互い言うわけよ。濱口さんと無人島やってて、「海、入ります?」、「じゃ、入ろうか」、「魚、網で獲ります?」、「“もり”でいくやろ」、「え、“もり”でつけます?」「つけるやろ」。

浜田:そこから?

友寄:そう。だから1カ月1万円も無人島生活もスタッフに聞いたら分かるけど、カメラずっと自分で回してんの。濱口さんあの時は、スケジュールがたくさんあったから。