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友寄隆英ディレクター × 浜田壮瑛~WonderNotes Inspire~刺激人

前編

後編

浜田:友寄さんが最も刺激を受けた方は誰ですか?ディレクターの方でも僕らの知らない方でも。

友寄:本音を言うと、鈴木おさむはすごいなぁと。考え方とか発想とか、やっぱ努力してるし、鈴木おさむさんって凄いよ!会ったことある?

浜田:お会いしたことはないですね。

友寄:一緒に仕事してると本気かどうか見抜かれそうで怖い、あの人が本気やから。それでいて、いつか絶対超えたいと思ってんねん。「こいつ怖いなぁ」と思われるものを作ってみたいなと思う。

先輩だし、尊敬もしてるし、お兄さんみたいな人やねん、俺が本当に頭悪いの知ってるからいつも叱られるし、話し方とかそういうのも言ってくれて。俺、勝手にいうけど、(俺のこと)弟みたいに思ってるんちゃうかなと。

浜田:兄弟関係と?

友寄:うん。「思ってねーよ!」って言われるかも(笑)。

浜田:でも、密は密ということですよね?

友寄:うん。他の局の総合演出とおさむさんの関係と、俺とおさむさんの関係は全然違う。全く違くて、それはみんな知ってるもん。仲良いとかじゃなくて、すごい突き放されんの。そんなんで怒られんの俺?みたいなことも言われる。

例えば、俺とマネージャーさんとおさむさんが一緒に話してて(マネージャーに)「視聴率何%とるの?」って聞かれて、「俺15%とります」って言ったら後で裏で「言うなよお前!」ってブチギレられて。「13%て言って、15%とるのがカッコイイだろ」って言ってくる。

浜田:出会いはいつ頃なんですか?

友寄:10年ぐらい前かな。俺、おさむさんに年齢をウソついてたの。

浜田:(笑)。

友寄:俺の方が上やと思ってたらしいねんけど、最近バレた。4年ぐらい前まで4歳上に言ってて「友寄さん」ってずっと言われてたの。それで3年ぐらい前に、おさむさんと俺と知人の3人で話してて、その知人に「友寄くん何歳なの?」って聞かれて「33歳」て言っちゃたら、おさむさんが「えっ!?おかしいじゃん」って!

浜田:(笑)話は変わりますが、作家さんとの関係性は?

友寄:関係性は一緒、作家も一緒。ディレクターが“こんなことしたい”、作家が“こんなことしたい”って大きくなっていく。作家がしゃべって、総合演出がしゃべって、その形をディレクターが受けて番組にする。このディレクターが本気で考えてるやつをぶつけたら番組ってでかくなっていくねん。だから黄金伝説の会議ってディレクターが全部プレゼンして、「どっちが良いですか?」って提示するようにしてる。作家の意見が全部通っちゃうとそれは上手くいかない。

浜田:8年間休んでないとおっしゃっていたんですが、何かリフレッシュ方法はありますか?

友寄:寝ることかなぁ。寝るのはちゃんと寝た方が良いと思う。それ以外はそんなこと言えん、映画とかは見なくても大丈夫。

浜田:ということは、おススメの映画というのも特にはなく?

友寄:『アバター』とか別に好きじゃないけど、3Dが流行ってたからみんなで行ったよ。ADと行ったけど(俺は)20分で寝ちゃうから、何回行っても頭の20分しか覚えてないんやけど…。(テレビマンは)自分の趣味を固定しちゃうときついよ。「週一で剣道習いに行ってます」ってそこのスケジュール絶対空けなきゃいけないから、ディレクターとしては急きょテレビの仕事が来るからきついよ。自分がきっとこういう職業でやっていくから、自由はないなって。凄い頭悪いやつがテレ朝に入って仕事してるから、いつダメになるか怖い。

浜田:楽しかったら続くものなんですかね?

友寄:続く絶対。俺、ADの時、頭が悪くても、やってたらディレクターになれて、訳も分からずディレクターの仕事をしてたら、なんか知らんけどチーフディレクターになって、チーフディレクターを一生懸命やってたら、なんか知らんけど総合演出になって、そして何年かやってたら、なんか知らんけどSMAPの仕事に就いて。

浜田:普段、寝てるんですか?

友寄:赤ちゃんみたいに寝る(笑)。

浜田:それは1日何時間もですか?

友寄:それはない!5時間とか3時間とかの方が多いけど、なんもなかったらずーっと寝てる。

浜田:寝てないイメージがあるんですけど、頭が働かなくなってきませんか?

友寄:寝たら大丈夫。寝た方が良いとは言えへんけど(笑)、言えへんやつは嫌やろ。けど、“ここ絶対寝たらあかん”とかいうときは寝ないこともある。

浜田:タレントさんとたくさん仕事されていると思うんですが、今、会ってみたい人はいますか?

友寄:タレントさんで?

浜田:いえ、誰でも良いです。

友寄:半年ぐらい前に姉貴と兄貴と久しぶりに会ったんやけど、高校も寮だったから20年位会ってなくて。

浜田:(その間)一度もですか?

友寄:会ってない一回も。姉貴と兄貴が、俺が仕事を何してるかも知らなくて“(番組の)エンドロール”で知ったらしい。で、それを見て何年かぶりに、「近くにいるから会える?」って前日に電話が掛ってきて、「いいけど」って言って、当日1時に行くっていったのに1時半ぐらいに来て、忙しかったからめっちゃ腹立った!30分遅れて「アトリウムにいるから来てよ」って言われて「2時から会議だから30分しかないで」って言って、ほんまにムカついて降りて行って姉貴と兄貴の顔見た瞬間、号泣したもん。人ってこうなるんやって思った。

浜田:(姉と兄を見て)分かったんですか?

友寄:分かった、すごかった!(涙が)止まらんかったよ。悲しいとか感動じゃなくて、兄貴の笑った顔見て泣いちゃった。不思議やなぁ人って。

浜田:そんな兄弟関係があるんですね。弟が何してるか気になりますけどね。

友寄:さんまさんとか、たけしさんとか見てたけど、自分が努力してたらどっかでぶつかる人だって。自分からSMAPとか、たけしさんと仕事したいと思うと、これは背伸びしてるから上手くいかないと思う。一生懸命、自分のルーティンの目先の仕事をしてたら、会いたいタレントに会える…不思議やなぁと思う。

ナイナイと仕事したいなぁとか、ダウンタウンと仕事したいなぁとか、ウンナンと仕事したいとか、SMAPとしたいと思う…けどできない。そこそこ実力あって認められても何か結びつかない。でもそんなの完全に忘れて、自分の与えられたものを与えられた形でやり始めたら、会えるようになる。だから…(会いたい人)いないかもね。

浜田:ズバリ、友寄さんにとって『ディレクター』とは何ですか?

友寄:うーん、どう言っていいかなぁ。そういう職業があって良かったなと思うけど。ないとやばかったよ、マジで。野球選手は野球ないとやばいやん。

浜田:そうですよね。

友寄:それと一緒かなぁ。(今の仕事が)ないと生きている意味もないし、色んな人とも会えなかったし、だからそういう職業があることに感謝してる。

浜田:そっちの方がリアルですよね。キャッチーなフレーズで「ディレクターってこういうことだよ」とか、言っていただけるよりも、今の方がリアルな声を聞けた感じがします。

友寄:なかったら(今は)危ない男やで。ギリッギリのとこで生活してると思う。

浜田:(笑)。

友寄:俺から直に聞くと(人間が)できてるように見えるやん。知ってる後輩とかに聞いてみ、「あの人、めちゃめちゃ」って言うと思うよ。仕事に関しては真面目で認めてくれてるんやけど、すごく頭が悪いから…都道府県がほとんど言えないもん、だから最近覚えてんねん、漢字も覚えようと思って。パソコンも全く使えないから手書きやもん。

浜田:僕、計算して手書きなのかと思ってました。

友寄:違う違う、マジでパソコン持ってないし使えへん。ケータイのメールはできるけど。だからこの仕事があって助かった。運も良かったなぁ、俺をディレクターにしてくれた人もそうだし、局員にしてくれた人もそうだし、おさむさんも。

みんな(俺が)できないから助けてくれて、だって絶対そうやもん!ゼネラルプロデューサーになったのも間違いなくそう、自分にゼネラルプロデューサーできるわけないって、みんなそう思ってんねんけど。“すごい弱いやつが一生懸命やってるから”みんな助けてくれる。

浜田:今日はお忙しい中ありがとうございました。

友寄:ありがとう(笑)。