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吉原伸一郎編集者 × 足立悠馬 ~WonderNotes Inspire~刺激人

前編

後編

足立:では、編集を担当するうえで、ここは譲れないというポリシーはありますか?

吉原:ないです(笑)。特に作り方に形を持っちゃうとヤバイかなって思うんですよ。ひとつの成功した例にこだわっちゃうと前に進めない。でも、人って成功すると弱いからそれにすがる傾向があります。

でも、それをやっちゃうと、ホントこの業界は駄目なんです。縮小再生産になっちゃうから。「またゼロからやるのは辛い」って人は編集者に向かないかもしれませんね。

足立:成功のパターンっていうのは編集の仕事にはないんですか?

吉原:あるのかもしれないんですけど、やっぱりまるっきり同じようにはではできないです。それは相手が違うし、時代も関係あるかもしれません。作り方にこだわると、新しいものが生まれにくい気がします。もし次のサッカー漫画をやるとしたら、また新しい切り口を考えます。そのうえで東村さんや、よしながさんのような新しい天才を探すためにさらにアンテナを広げてないといけないなと思います。

足立:吉原さんは今の学生にどのようなイメージをお持ちですか?

吉原:もっと漫画読んで欲しいな。『ワンピース』だけじゃなくて(笑)。今の若い子たちは流行ったものしか読んでないイメージがありますね。誰かが褒めてないと読まないというか、自分が新しいものを見つけるっていうことが少ない気がしますね。まあ、世代もあるんでしょうが。でもハズレもたくさん読んで欲しい。

足立:あー、ハズレはイヤっていうのはありますね(笑)

吉原:ですよね。でも音楽もそうじゃないですか。ハズレを聞かないとイイのがわからないじゃないですか。みんながイイって言うのばかりじゃなくて、自分だけのイイものを見つけて欲しいなって思いますね。あと…やっぱりオタクなんですかね、僕らは漫画でも音楽でも、1つの作品が気に入ると、その作家の前の作品とかを辿って読む世代だったんですよ。だけど、今そういうことが希薄な感じがするんですよね。

音楽でも流行った曲だけ貰えばいいとか。コンピレーションアルバムが売れるのはそういった事だと思うんですよ。僕たちの頃は、変なものが好きでも、そんなに蔑まれなかったんですよ。あとネットが普及してサブカルチャーの表現する場所が紙じゃがなくなっちゃったので、面白い人が発見しにくい環境になったと思います。

足立:やっぱり、吉原さんが学生の頃は、周りに流されないで好きなものだけ追い続けるタイプだったんですか?

吉原:流されまくりですよ。流されまくって、たくさん見た中で自分が好きなものがわかるんだと思いますね。授業中、変な漫画や古い漫画もいっぱい回ってきましたからね。